研究・教育DX アプライド導入支援事例

研究データの適切な管理・利活用促進のための環境整備支援

岡山理科大学

工学部 機械システム工学科

講師 寺野 元規様

■先生の研究について教えてください。

 成型加工学のなかの主に組成学を専門としています。生産加工という分野がありますが、そのなかでも「削る」あるいは「変形させる」ことによって金属を加工する技術を研究しています。主な研究であるプレスによる加工は、自動車の車体の成型をはじめ、アルミサッシやスチールの棚、机、携帯電話の本体といった身の回りのあらゆるものに欠かせない技術です。

 

■どのような経緯でNASを導入されたのですか。

 私の研究は卒業研究に取り組む4年生の学生と一緒に進めていくのですが、学生がデータを紛失したり、管理できていなかったりすると非常に困ったことになります。

 しかし私自身、NASの運用に関しては詳しくないので、カタログを見ながら要望を伝え、アプライドの担当の方に相談しました。心配だったのは、最初のセットアップです。どれぐらいのデータを管理できるのか予想がつかず、RAIDの組み方などの設定ができるのか心配でした。その点、初期設定をして持って来てくださるので、非常に助かりました。

 それほどネットワークには詳しくないし、時間もさけないし。初期設定をしてもらえることで、導入のハードルは下がりましたね。

 

■導入後に、どのようなメリットを感じましたか。

 まず、データを安全に保管できる点です。NASに保管しておけば、常にそこにデータがあるので必要な時にすぐに取り出せて、時々刻々とデータのバックアップができます。近年の研究開発では精度の高いシミュレーションソフトによるデータ解析が欠かせないのですが、時間をかけて解析した膨大な量のデータもNASへバックアップしておけば、確実で安心ですし、データの改ざんも防止できます。

 また、私の場合はノートパソコンを授業などでもよく使うのですが、パソコン自体にたくさんのデータを入れておけないのでNASに保管し、必要な時に呼び出して活用しています。

 二つ目は、重いデータのやり取りも短時間で気軽にできる点です。最近はカメラの性能が向上し、一つの画像データが重いため、メールでのやりとりもできず、USBを差してデータを取り込む方法もウイルス感染の心配があります。その点、NASを経由すれば、ハードディスクからのダウンロードの順番待ちといったこともなく、データのやり取りに要する時間も短縮でき、安心感があります。

 

■今後のNASの活用についてはどのようにお考えでしょうか。

 最近1台増設し、私とテーマが近い研究室と合同で運用しています。アクセス権限も設定できるので、教員用と学生用のNASを分離しました。そうすれば学生の成績や個人情報の管理にも活用できると思います。外部に漏れてはいけない情報が多いですからNASだと安心ですね。

 学生に関しては、まだまだデータの扱い方に危機感がないので、そこを管理するのは私たち教員の役目だと思います。日頃からバックアップをこまめに取らせて、保管方法を指導し、私が確認するようにしています。卒論に関してもNASの指定のホルダーにあげてもらい、私がチェックしてNAS経由で学生に返すという方法を取っています。さまざまなデータがNASに保管されていると参考になる資料を私が提示することも容易ですから、学生の学ぶ意欲も刺激され、資料を整理するスキルもアップするでしょう。

 私個人としては、NAS導入以前のデータもあとから入れることができ、研究の過程で過去のデータを参照したり、まとめたりといったこともやりやすくなりました。学内での打ち合わせの際も、簡単に画像を引っ張り出してみんなで見ることができて便利です。

 また今のところは学内のローカルで運用していますが、グローバルに運用すれば出張中にアクセスできるという利点もあります。ただ、その際リスクがどれぐらいあるのかは私たちの判断にかかってくるので、リスクについてもう少し知りたいです。

 研究者にとっても、学生にとっても、今後、様々な場面で活用できるのではないでしょうか

 

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